社交不安症
社交不安症(社交不安障害)とは?
初対面の人と会う時や目上の人と会ったり、大勢の人の前での発表や発言する際に、緊張したり不安になったことはありませんか?
人と関わる社交場面において、緊張することはあたりまえのことで、会話や発表、発言に支障をきたすほどではなく、時間とともにやわらぎ、何度もくり返し経験することによってなれていきます。
しかしながら、様々な対人場面で、不安や緊張にともなって現れる身体の症状が、会話や発言に支障をきたすほど著しく、強い苦痛から様々な対人場面を避けるようになり、その結果、社会生活に支障がでてしまう状態が社会不安症です。
社交不安症の分類
社交不安症は苦手な場面によっていくつかの種類に分類されます。
●スピーチ恐怖症
人前でスピーチをする際、緊張のあまり頭が真っ白になったり、声が震えたりして強いプレッシャーを感じる場合
●会食恐怖
食事をしているところを他人に見られると緊張して食べられなかったり、自分の立てる音が気になってのどが詰まったように感じたり、人前で食事をすることを極端に恐れる傾向がある場合
●電話恐怖
電話の相手や周囲の人達からどう思われたかが気になって、強い緊張を感じて言葉が出なくなったりする場合。
●視線恐怖
人と目を合わせることが怖い。他人の視線が怖いなど、自分の視線が相手を不快にさせてしまうことを恐れる場合
●赤面恐怖
人前や異性の前などの特定の場面で緊張し顔が赤くなることを恐れて、そのような場面を過剰に意識したり、人が集まる場所を避けてしまう場合
●発汗恐怖
人から話しかけられると、緊張して汗をかく。仕事で接客をしていると、額からポタポタと流れるほど汗をかき、タオルが手放せないなど、人と接する恐怖や緊張のあまり、大量の発汗が起こる場合
●振戦恐怖
人と接する場面で、手や足など体が震えてしまい、そうした場面が怖くなる。
例えば職場で来客にお茶を出そうとすると、手が震えてしまう。上司にチェックされているとパソコンを打ち込む手が震えて、ますます緊張するなどの場合
●書痙(ショケイ)
人前で字を書こうとすると緊張してしまい、手が震えて字を書くことが難しい方
社交不安症の根底には、「他人にマイナスな評価をされてしまう恐怖」と、「他人に迷惑をかけてしまう恐怖」があります。
こういった恐怖のために、過度な不安や恐怖を抱くと、社交場面などをできるだけ避けようとしてしまいます。この回避行動が、社会不安症の症状を悪化させていきます。
社交不安症の治療方法
社交不安症の治療法には、薬物療法と心理療法があり、両方を用いると治療効果が高いと言われています。
ただし、治療をスムーズにスタートできるよう、まずは不安や恐怖を和らげるために薬物療法を開始するのが一般的です。
また、適切な治療で治ることを認識することも大切です。不安を感じるシーンにあえて自分をさらし、不安に慣れていく方法があります。感じる不安が比較的小さいところから始め、「不安は感じても時間とともに薄れていく」「不安を感じてもやるべきことをすることはできる」「失敗をしたとしてもそれほど大きなダメージは受けなかった」などの感覚を成功体験として体感しながら、挑戦するシーンのハードルを少しずつ上げ、克服を目指します。