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強迫性障害

強迫性障害(強迫神経症)とは?

強迫性障害とは、強い「不安」や「こだわり」によって日常に支障が出る病気です。

頭の中にしつこく浮かぶ不快な考えやイメージ(強迫観念)にとらわれ、それを打ち消そうとするくり返しの行為(強迫行為)が止められなくなってしまいます。

 

多くの患者さんは、その考えや行為の度が過ぎていること、生活に支障をおよぼしていることを自覚し止めようとしますが、その意志に反して強迫観念や強迫行為が続き、心身が激しく疲労してしまいます。

強迫性障害は、WHO(世界保健機関)によって「経済損失および生活の質の低下に影響する10大疾患」の1つとされているほど、苦痛や支障の大きなものですが、なかなか治療に踏み出せず苦しんでいる人が多いです。放置してしまうと重症化していく傾向があり、うつ状態などを合併してしまうこともあり、治療も大変になります。確認行為に家族も巻き込んでしまうことが少なくありません。生活の大部分が左右されて行動範囲が狭まり、自宅から一歩も出られなくなってしまうケースもあります。

 

強迫性障害の症状について、詳しくみていきましょう。

強迫観念と強迫行為

強迫観念とは、繰り返し頭の中にあらわれる考えやイメージのことです。強迫行為には大きく4つの「とらわれ」があると考えられています。

・汚染や洗浄→汚染恐怖・不潔恐怖(汚染されている)

・禁断的思考→加害恐怖(いけないことをしてしまう)

・対称性→不完全恐怖(ぴったりこない)

・ため込み→ため込み症(物がなくなってしまう) 

 

●不潔恐怖/汚染恐怖

「自分が汚れている」「何かに汚染されてしまった」という恐怖つながりやすい強迫行為・過度な手洗い・シャワー・歯磨きなどをくり返す・家のすみずみまでを除菌したり徹底的に掃除したりする・汚れる可能性のある物質や場所を過度に避けようとする

 

●加害恐怖

「自分が他者に危害を加えるのではないか」「卑猥な行為や反社会的な行動をしてしまうのではないか」という恐怖つながりやすい強迫行為・自分自身で「大丈夫か?」とひたすら確認を続ける・他者に「私は何もしていませんよね?」としつこく確認する

 

●不完全恐怖

「ぴったりしない」「しっくりしない」といった感覚(強迫観念という認識が本人にないことが多い)つながりやすい強迫行為・何度も整理整頓をしてしまう・同じ行動を繰り返し行ってしまう→その作業のくり返しによって、やるべきことが前に進まなくなってしまう。(強迫性緩慢) 

強迫観念への「とらわれ」が生活していく上でつきまといますので、それによって様々な問題となる症状が生じます。

 

うつなどの合併・回避行動・周囲の巻き込み

毎日が強迫観念と強迫行為に支配されている状態では精神的な疲労が激しく、うつ状態や睡眠障害などを合併することがあります。アルコールに走ってしまう方もいらっしゃいます。強迫性障害は、「バカバカしい」と本人が自覚していることが多いです。ですが、「分かっていても止められない」のが強迫性障害です。仕事や学校といった日常で常に強迫観念につきまとわれると、苦手な状況を避けたいと思うようになってしまいます。自分自身でコントロールができなくなると、家族や友人などを強迫行為に巻き込んでしまうこともあります。「大丈夫」という保証を求めてしまい、何度も確認してしまったりします。こういった回避行動や巻き込みによって、「とらわれ」が強まって悪循環になってしまう・社会生活がうまくいかなくなってしまうといった状況に陥ってしまいます。

 

治療について

強迫性障害に対する薬物療法

強迫性障害で使われる薬はSSRIというお薬が最もよく使われています。

また、強迫症状による不安を和らげるために、抗不安薬を使っていくことが多いです。不安が一日中強い方は、抗不安薬を常用します。心理療法をすすめていくにあたって不安が強まるときに、一時的に頓服として使われたりもします。

 

強迫性障害で使われる心理療法

強迫性障害の治療では、合った薬をしっかりと飲むことに加え、心理療法の併用が欠かせません。専門の心理士とともにじっくり取り組むことが理想です。

強迫性障害の治療では心理療法が必要ではあるのですが、かなりの労力がともない、けして簡単なものではありません。症状が辛い時に無理をするとよけい状態が悪化する恐れがあるため、お薬によって少しずつ改善が認められてから行っていきます。お薬の効果を見ながら、日常生活の中で意識をしながら過ごしていただくことで、心理療法を重ねていきます。

心理療法は、根本の強迫傾向を改善していく基礎力アップの訓練のようなものです。それを有効に行うためには、今ある辛い症状や弱い部分を助けるための薬物療法を行い、ある程度状態を整えておくことが大切です。

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